スナップチャットは、画像や動画を投稿できるSNSで、10秒で投稿が消えるのが最大の特徴です。Z世代・ミレニアル世代を中心に支持されるプラットフォームとして、ブランドにとって重要な広告チャネルになりつつあります。
本記事では、スナップチャット広告の仕組みから広告形式の種類、効果的な運用方法までを分かりやすく解説します。若年層にリーチしたい企業や、新たな広告チャネルを検討している方はぜひ参考にしてください。
スナップチャット広告とは?

スナップチャット広告とは、Snapchat上でフィードやストーリーの合間に配信される縦型の動画・画像広告のことです。縦型動画やARレンズといった独自フォーマットを活用することで、他のSNSでは得られない高い没入感とエンゲージメントを生み出すことができ、主に10〜20代の若いユーザーに向けてブランド認知向上や商品訴求ができます。
スナップチャット広告の仕組み

スナップチャット広告は、広告主がSnapchat Ads Managerを使い、年齢・地域・興味関心など細かい条件でターゲティングしながら広告を作成・配信・管理します。
ユーザーはスワイプアップ操作でWebサイトへ遷移したり、長尺動画を視聴したりできます。分析ツールで効果測定や最適化ができる点も特徴です。
スナップチャット広告の費用はいくらか?
最低出稿額は1日5ドル(約750円)からですが、システムが広告を最適化するためには、1日20〜50ドル(約3,000〜7,500円)程度の出稿が推奨されています。
スナップチャット広告は柔軟な料金設定で、広告主が予算・期間・目標を自由に管理できます。広告作成時には、設定した予算に基づくリーチや成果の見込みを事前に確認でき、必要に応じて調整可能です。
また、初回利用者には50ドル(約7,500円)支出で75ドル(約11,250円)分の広告クレジットが付与されるキャンペーンも案内されています。
スナップチャット広告の種類

スポンサー広告Snap
チャット機能を活用し、ブランドがユーザーに直接スナップを送信できる広告形式です。チャットフィード内で自然に届けられるため押しつけ感がなく、チャットフィードに表示されるスポンサー広告は一度に一つだけなので、高いエンゲージメントを得やすいのが特徴です。ブランド側が自動応答を設定すれば、ユーザーは広告に返信することもできます。
画像や動画、チャット背景を組み合わせて、より親近感のある双方向のコミュニケーションが可能なため、特にブランド認知の拡大や顧客関係の構築に適しています。
スポンサー広告Snapの特徴は、以下のとおりです。
- チャット欄に直接表示される
- 返信・自動返信で対話型体験を提供
- 自然で高いエンゲージメントを実現
- 画像と動画の形式は縦型9:16、動画長さ最大180秒
- 最大500文字のメッセージが送れる
単一画像・動画広告
スナップチャット広告の中で最も汎用的で、初心者にもおすすめの形式です。縦型9:16の静止画や動画を使い、ストーリーやスポットライトの間に自然に表示されます。ウェブサイトなどへのリンクを追加すれば、ユーザーはスワイプアップするだけで移動できます。
ブランド認知の拡大からウェブサイト誘導、SNSマーケティングまで幅広く活用でき、シンプルながら強力な効果を発揮します。
単一画像・動画広告の特徴は、以下のとおりです。
- 新規広告主に最も推奨される形式
- 幅広い目的(認知・誘導・再訴求)に対応
- ストーリーやスポットライト枠に掲載
- 縦型9:16、動画長さ3〜180秒
ストーリー広告
複数のスナップを連続して再生し、ストーリー仕立てで商品やブランドの魅力を伝える広告形式です。ユーザーが自らタップして視聴を進めるため、能動的なエンゲージメントが得られます。
特集キャンペーンや製品紹介に向いており、ビジュアルを通じて感情に訴えかけることが可能です。一つの物語としてブランドの世界観を体験させ、関心を高める効果があります。
ストーリー広告の特徴は、以下のとおりです。
- 複数の画像・動画で物語性を演出
- タップ操作による自発的視聴を促進
- 製品理解やブランド体験の強化に有効
- 動画長さ3〜180秒
コレクション広告
ECや小売業に特化した広告形式で、メインビジュアル下に複数の製品を並べて表示します。ユーザーは商品をタップするだけで販売ページにアクセスできるため、スムーズに購買行動が促されます。
常時配信型広告としても有効で、リターゲティングや商品ラインアップ訴求に最適です。ブランドの世界観を保ちつつ、即時的な購入意欲を喚起します。
コレクション広告の特徴は、以下のとおりです。
- EC向けに設計されたショッピング広告
- メイン動画+複数の製品サムネイル構成
- タップで直接購入ページへ誘導可能
- 常時配信型キャンペーンにも適用可
- 動画長さ3〜180秒
コマーシャル広告
スナップチャット内の厳選された動画コンテンツ中に配信される広告で、最初の6秒間がスキップ不可のフォーマットです。
ブランド認知向上を主目的とし、確実に視聴される設計が特徴です。短くても印象的な映像表現にすることで、ストーリー性やブランドメッセージを明確に伝えることができます。拡張版では最大180秒まで再生可能で、商品紹介にも利用できます。
コマーシャル広告の特徴は、以下のとおりです。
- 最初の6秒間がスキップ不可
- ブランド認知・イメージ訴求に最適
- 動画長さはスタンダードで3〜6秒、拡張版では7〜180秒
- 高品質な映像で確実なリーチを実現
ARレンズ・フィルター広告
スナップチャットの代名詞ともいえるAR技術を活用した広告形式です。
ユーザーにブランド独自のレンズやフィルターを提供することで、自然な拡散を促します。高い没入感と共有性により、ブランドの親近感と話題性を同時に高めます。
ARレンズ・フィルター広告の特徴は、以下のとおりです。
- AR(拡張現実)を用いた体験型広告
- レンズはブランド体験を強化、フィルターは自然拡散を促す
- ユーザー投稿を通じた広範囲へのリーチ
- ブランドロゴの明示が必須
Ads Managerでのスナップチャット広告の作成方法
スナップチャット広告を始めるには、まずスナップチャットのビジネスアカウントを作成し、ログインします。続いてSnapchat Ads Managerにアクセスし、広告作成を進めます。
広告の作成方法には自動と手動の2種類があります。ここでは、手動(Manual Build)で作成する手順を、実際の画面のスクリーンショットとともに解説します。
下のManual Buildを選択すると、細かい設定ができる。
1. 目標を選択する
まずは、広告を見たユーザーにどのような行動を取ってほしいのかを明確にし、キャンペーンの目標を設定します。スナップチャット広告では、目的に応じて以下のような目標を選べます。

- 認知&エンゲージメント:新規ユーザーにブランドや商品を知ってもらう。広告へのリアクションや操作を促進する。
- トラフィック:特定のURL(ランディングページ・商品ページなど)へ誘導する。
- リード:連絡先などのユーザー情報を提供するよう促す。
- アプリプロモーション:アプリのダウンロードを促す。
- 販売:商品カタログを表示し、購入を促す。
eコマースでよく使われるこれらの目標は、「認知」「検討」「コンバージョン」の3段階に分類され、顧客が購入に至る一般的なファネルに沿っています。
- 認知:ブランドやサービスを知ってもらう段階
- 検討:興味を持ち、購入を考え始める段階
- コンバージョン:購入や重要なアクションにつながる段階
広告の目標を選ぶ際は、ターゲットとなる顧客がこのファネルのどこにいるかを意識することが重要です。スナップチャットを初めて活用する場合は、まずは認知を高め、その広告に反応したユーザーをリターゲティングして検討フェーズに移す、という流れが効果的です。
2. キャンペーン名を付ける
次に、「Campaign Setup」の項目でキャンペーン名を設定します。後から見返したときに内容がすぐ分かるよう、分かりやすく一貫した命名ルールを決めておくと管理がスムーズです。

また、ここではSplit Test(スプリットテスト)を有効にすることも可能です。
スプリットテストとはA/Bテストのことで、同じキャンペーン内で複数の要素を比較し、どちらがより効果的かを検証できます。いわば、対照群と実験群を比較するシンプルな実験のように、広告パフォーマンスの違いを確認できる機能です。
3. 開始日と終了日を選択する
続いて、広告の配信期間(開始日と終了日)を設定します。

4. 広告セットを設定する
広告セットの設定画面にある「Tracking」の項目で、Snap Pixel(スナップピクセル)を有効化します。
スナップピクセルを設置すると、広告を見た後にユーザーがウェブサイト上で取る行動を計測でき、キャンペーンの効果測定や最適化に役立ちます。これは、リターゲティング広告を実施する際にも重要な要素です。

Shopifyストアの場合は、Snapchat Adsアプリ(英語のみ)をインストールしてスナップピクセルと接続するだけで簡単に効果測定できるようになります。
5. 予算を設定する
「Budget & Schedule」の項目で予算を設定します。
日予算を設定すると、設定した金額を超えて支出されることはありません。一方、生涯予算は、キャンペーン期間全体で使う総額を設定する方式です。この場合、日ごとの支出額は変動する可能性がありますが、最終的な総額は設定した上限内に収まります。生涯予算はいつでも増減したり、必要に応じて削除したりできます。

6. 広告の配置を設定する
次に、「Placements」の項目で広告の配置を選択します。デフォルトのAutomatic Placement(自動配置)を利用すると、スナップチャットが最適な場所に広告を配信してくれるため、より多くのユーザーにリーチしやすくなります。

7. ターゲットオーディエンスを設定する

続いて、「Audiences」でターゲットオーディエンスを設定します。地域や年齢・性別などの人口統計に加え、興味関心・職業などの詳細なフィルターも利用可能です。また、Detailed Targeting(詳細なターゲティング)の項目内にある、スナップチャットやサードパーティのデータをもとにしたPredefined Audiences(事前定義されたオーディエンス)を選ぶことで、さらに精度の高いターゲティングが行えます。
OS別(iOS/Android/Web)に絞り込むこともできます。

8. 広告を作成する
次の画面では、広告をデザインするオプションが表示されます。広告フォーマットを選択すると、プレビュー画面がそれに合わせて変わります。

ビジュアルをアップロードし、ブランド名、見出しテキスト、CTA、その他必要な情報を追加します。エディターの右側のプレビューで広告がどのように見えるかを確認しましょう。
完成したら、右下のRview&Publish(確認して公開)をクリックします。次の画面で情報を確認し、ビジネスの住所と支払い詳細を追加したら、Publish Campaign(キャンペーンを公開)をクリックして完了です。
注目すべきスナップチャット広告の指標(KPI)

インプレッション
インプレッションは、広告がユーザーの画面に表示された合計回数を示す指標です。実際にクリックされなくても、広告が視認できる位置に表示されるだけでカウントされます。ブランド認知の広がりや広告の露出度を測るうえで重要で、広告の配信量の基礎となるデータです。
コンバージョン率
コンバージョン率(CVR)は、広告を見たユーザーのうち、購入・問い合わせ・アプリインストールなどの成果に到達した割合を示す指標です。広告の「最終的な成果」を測る最も重要なKPIの一つで、広告の質やターゲティングが適切かどうか判断する基準になります。
ストーリーオープン単価
ストーリーオープン単価は、ストーリー広告がユーザーに開かれた1回あたりのコストです。この指標が低いほど効率よく興味を引けていることを意味します。ストーリー形式のクリエイティブがどれだけ魅力的か、メッセージが刺さっているかを判断する際に役立ちます。
クリック率
クリック率は、広告を見たユーザーのうち、スワイプアップした割合を示す指標です。広告クリエイティブの魅力度や訴求力を測るのに最適で、数値が高いほどユーザーが次のアクションへ進みやすい状態にあります。
有料リーチ
有料リーチは、広告を通じて接触できたユニークユーザー数を示します。同じ人が何度表示されても1としてカウントされるため、純粋に「何人に広告が届いたか」を把握できます。新規ユーザーへのリーチ状況やブランド認知の広がりを評価する際に重要です。
2秒動画視聴数
2秒動画視聴数は、動画広告が2秒以上視聴された回数を示す指標です。短時間でも視聴されることで、広告がユーザーの注意を引いているか判断できます。スナップチャット広告では動画重視のフォーマットが多いため、初期の興味関心を測る基礎指標として重視されます。
動画完了率
動画完了率は、動画広告が最後まで視聴された割合を示す指標です。ユーザーの興味を持続させる力やクリエイティブの質を測る重要なKPIで、数値が高いほどメッセージがしっかり伝わっています。動画広告を最適化する際に特に重視すべき指標です。
スナップチャット広告と他のSNSプラットフォームの比較

スナップチャット
スナップチャットは、短くて目を引くWeb広告を簡単に作成できる点が特徴です。特にARレンズ(ARフィルター)は高い没入感を生み出しますが、制作には専門的なスキルが必要な場合があります。ユーザー層は若年層が中心で、広告に触れて遊んだり、友達と共有したりする傾向があります。
また、広告が一瞬で切り替わるため、印象に残りやすいのも特徴です。
インスタグラム
インスタグラム広告は、ブランドの世界観を重視した高品質な写真・動画が求められます。広告作成にはMetaの有料広告ツールを使うため、詳細なターゲティングが可能です。ストーリーズやリールなど短尺動画は商品紹介と相性が良く、ブランドイメージをスタイリッシュに伝えられます。
フェイスブック
フェイスブックは最も多様な広告フォーマットと高度なターゲティング機能を持っていますが、その分設定は複雑になりがちです。近年は広告クリック率が低下しているものの、統計データ(英語)によると30億人以上のユーザーを抱えるため依然として大規模なリーチが可能です。特に中高年層向けの訴求では動画広告が効果を発揮します。
スナップチャット広告を効果的に活用する方法

リターゲティング広告を活用する
スナップチャット広告で成果を高めるには、リターゲティング施策の活用が欠かせません。
スナップピクセルをウェブサイトに設置しておくことで、商品ページを閲覧した人や、広告に反応したユーザーを特定し、再度広告を届けることができます。
一度興味を示したユーザーは購入に近い段階にいるため、コンバージョン率が上がりやすいのが特徴です。期間を空けずに適切なタイミングで接触することで、購買意欲を後押しし、広告費を無駄にしない効率的な運用が可能になります。
スナップチャット内でコンテンツの一貫性を保つ
スナップチャットでは、ブランドの世界観とトーンを統一し、コンテンツの一貫性を保つことが重要です。
若年層ユーザーが多いプラットフォームのため、カジュアルでテンポの良い動画や、自然な雰囲気のクリエイティブが好まれます。ストーリーやレンズ、フィード広告など、それぞれのフォーマットに合わせつつ、色味やメッセージをそろえることでブランドを認識してもらいやすくなり、継続的に投稿・配信することで、ユーザーに覚えてもらいやすくなります。
広告を自然に感じさせる
スナップチャットユーザーは、いかにも「広告らしい」表現に抵抗を持つ傾向があります。そのため、普段の投稿に溶け込むような自然なクリエイティブを意識することが重要です。
過度なセールスコピーを避け、リアルな利用シーンや等身大の視点を取り入れることで、ユーザーにストレスを与えず、好意的に広告を受け取ってもらえるようになります。また、ストーリーの流れに沿ったテンポ感を意識すると、視聴完了率も高まりやすくなります。自然さと親近感が、スナップチャット広告の成功の鍵となります。
まとめ
スナップチャット広告は、若年層ユーザーへのリーチや高いエンゲージメントを得やすいSNS広告です。縦型動画やARレンズなど独自の表現方法を活用することで、ブランドの魅力を自然に伝えられます。加えて、柔軟な予算設定や詳細なターゲティングにより、小規模からでも始めやすい点が特徴です。
本記事で紹介した広告形式や設定方法、主要指標を参考に、自社の目的に合ったキャンペーン設計に取り組んでみてください。スナップチャットの特性を活かした運用によって、ブランド認知から購入促進まで効果的にアプローチできます。
よくある質問
スナップチャット広告キャンペーンはどのくらいの頻度で更新すべき?
一般的には2〜4週間ごとにクリエイティブを更新し、コンテンツを常に新鮮な状態に保つことが推奨されます。ただし、広告のパフォーマンスを定期的にチェックし、エンゲージメントやクリック率が下がってきた場合は、予定より早めにクリエイティブを入れ替えることも重要です。
スナップチャット広告の最低予算はいくら?
スナップチャット広告は1日5ドル(約750円)から配信できます。まずは小さく始め、成果を見ながら徐々に予算を調整する運用方法が適しています。
スナップチャット広告はどれくらい効果的?
スナップチャットはミレニアル世代やZ世代へのリーチに非常に強いプラットフォームです。低コストで運用できるうえ、精度の高いターゲティングやフルスクリーンの縦型広告により、ユーザーのアクションを促しやすい点が特徴です。若年層向けのブランドやECとも相性が良い媒体です。
スナップチャット広告で有効なターゲティングは?
スナップチャット広告で基本となる有効なターゲティングはプロスペクティングとリターゲティングの2種類です。
- プロスペクティング:年齢、性別、地域、興味関心をもとに、新しい潜在顧客へリーチする方法
- リターゲティング:過去30日以内にサイトを訪れた人や、広告に反応したユーザーへ再度アプローチする方法
購入意欲の高いユーザーを取りこぼさず、効率的に成果につなげられます。
文:Takumi Kitajima





