インスタは写真や動画を中心としたSNSであるため、商品の使用シーンや世界観を視覚的に伝えやすく、購買意欲やブランド理解を促進しやすいのが特徴です。また、インフルエンサーとフォロワーの間には一定の信頼関係が構築されていることが多く、投稿内容が広告として受け取られにくい傾向にあります。
そのため、インスタのインフルエンサーマーケティングは、認知拡大・ブランディング・購買促進など、さまざまな目的で活用されており、多くの企業がSNSマーケティング施策の一つとして導入しています。
この記事では、インスタのインフルエンサーマーケティングの概要や活用するメリットなどを解説します。さらに、マーケティングが成功するためのポイントや企業の成功事例も紹介するので、インスタのインフルエンサーマーケティングに興味のある方はぜひ参考にしてください。
インスタでのインフルエンサーマーケティングとは?

インスタのインフルエンサーマーケティングとは、インフルエンサーを起用し、商品やブランド、サービスなどの情報を発信してもらうマーケティング手法です。インフルエンサーを介してPRするため、広告よりも自然にユーザーへ訴求できます。
そもそもインフルエンサーとは
インフルエンサーとは、インスタを含むYouTube(ユーチューブ)やTikTok(ティックトック)などのSNSで情報発信をして、多くの人に影響力を与える人物の総称です。影響力があるかどうかの判断はフォロワー数で判断されることが一般的です。
インフルエンサーの種類
インフルエンサーはフォロワー数に応じて次の4つに分類されます。
- ナノインフルエンサー:フォロワー数1,000〜1万人。低コストで依頼可能。フォロワーとの距離感が近いのが特徴
- マイクロインフルエンサー:フォロワー数1万〜10万人。ターゲットを絞ったマーケティングに有効
- ミドルインフルエンサー:フォロワー数10万〜100万人。特定のジャンルに特化しているため、大規模なリーチが期待できる
- トップインフルエンサー:フォロワー数100万人〜。二次拡散が期待できるため、爆発的に広がる可能性が高い
インスタでインフルエンサーマーケティングを行うメリット

視覚的に訴求力の高いコンテンツを効率的に制作できる
インスタは、画像や動画などのビジュアルを中心としたコンテンツを投稿できるプラットフォームで、商品やサービスの魅力を直感的に伝えやすいというメリットがあります。インスタのインフルエンサーマーケティングでは、インスタの特性を活かしたコンテンツ作りを得意とするインフルエンサーに宣伝してもらうため、高い広告効果が期待できます。
また、インフルエンサーのスタイルや世界観を反映した投稿は、従来の広告よりも自然で印象に残りやすいのも大きな利点です。インフルエンサーの投稿をきっかけに、フォロワーが感想や体験をコメントや投稿として共有するケースも多く、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出にもつながります。このようなUGCは、第三者のリアルな評価として受け取られやすいため、良いブランドイメージにつながります。
さらに、撮影や編集のノウハウを持つインフルエンサーが、プロのフォトグラファーと連携しながら、完成度の高いビジュアルコンテンツを制作するケースもあります。そのため、企業側で一から制作体制を整える必要がなく、効率的にコンテンツを用意できる点も、インスタのインフルエンサーマーケティングの大きなメリットです。
アクティブなユーザーにリーチできる
インスタのインフルエンサーマーケティングでは、アクティブなユーザー層に対して効率的にリーチできる点が大きなメリットです。
インフルエンサーのフォロワーは、特定のテーマや価値観に共感する人が多く、ブランドや施策目的と高い親和性を持つケースが多く見られます。そのため、インフルエンサーを選定する際には、フォロワーの属性や関心領域がブランドに適しているかを見極めることが重要です。適切なインフルエンサーを起用することで、購買意欲の高いターゲット層に対して、無駄の少ないアプローチが可能になります。
また、インスタではハッシュタグを活用することで、フォロワー以外のユーザーにも投稿が届きやすく、ニッチ市場にもリーチできます。
あらゆる規模のマーケティング予算に適している
インスタのインフルエンサーマーケティングは、施策の目的や予算規模に応じて柔軟に活用できる点が特徴です。費用はインフルエンサーのフォロワー数を基準に設定されるのが一般的なため、予算に合わせたインフルエンサー選定が可能です。
例えば、コストを抑えたい場合はナノインフルエンサーを起用することで、フォロワー数が少なくても高いエンゲージメントを活かした施策が期待できます。フォロワーとの距離が近く、信頼関係が築かれているケースも多いため、反応率が高く、売り上げや成果につながりやすい点もメリットです。
このように、インスタのインフルエンサーマーケティングは、小規模な施策から大規模なプロモーションまで、幅広いマーケティング予算に適した手法です。
インスタのインフルエンサーマーケティングを成功させるポイント5つ

1. 目的を明確にする
インスタのインフルエンサーマーケティングを成功させるためには、まず施策の目的を明確にすることが重要です。例えば、ECサイトでの購入促進、ブランド認知の拡大、新規顧客の獲得など、目的によって適切なインフルエンサーの選定や施策設計は大きく異なります。
目的が曖昧なまま進めてしまうと、インフルエンサーの起用基準やコンテンツの方向性が定まらず、期待したマーケティング効果を得られない可能性が高くなります。
2. KPIを設定する
インスタのインフルエンサーマーケティングでは、目的を明確にしたうえで、KPIの設定を行うことが不可欠です。KPIを定めることで、投稿ごとのインプレッション数やリーチ数、フォロワー増加数などを指標として、施策の効果を客観的に測定できます。
KPIが明確であれば、インフルエンサーの選定やコンテンツの改善点も把握しやすくなり、施策の精度向上につながります。
3. 予算を決める
インスタのインフルエンサーマーケティングで成果を上げるためには、施策の目的や規模に応じて適切な予算を設定することが大切です。
インスタのインフルエンサーマーケティングの費用相場は、1フォロワーあたり約1〜3円とされており、フォロワー数が100万人を超える場合は、1フォロワーあたり5円以上になる傾向にあります。そのため、フォロワー数が多いインフルエンサーほど、起用コストは高くなります。
また、商品提供を伴う施策では、投稿報酬に加えて商品代や送料などの実費も考慮する必要があります。
4. ブランドに合っているインフルエンサーを選定する
インスタのインフルエンサーマーケティングで最も重要なポイントは、ブランドのイメージに合うインフルエンサーを起用することです。インフルエンサー自身が持つ世界観や価値観、フォロワーとの関係性が、マーケティング効果を大きく左右します。
インフルエンサーを選定する際は、フォロワー数の多さだけで判断するのではなく、過去の投稿内容やコメント欄でのやり取り、ストーリーやライブ配信にも注目しましょう。フォロワー層の雰囲気や関心の高さ、コミュニケーションの温度感を把握することで、ブランドとの相性を判断しやすくなります。トップインフルエンサーはリーチできる範囲が広い一方で、必ずしもすべての施策に適しているとは限りません。
さらに、可能であればインサイトを共有してもらいましょう。フォロワーの年齢層、アクティブな時間帯、男女比、居住地域などを確認することで、ブランドイメージや施策の目的に合ったインフルエンサーかどうかを、より客観的に判断できます。
5. インフルエンサーの個性を活かしたコンテンツを制作する
ブランドに合いそうなインフルエンサーを見つけたら、インフルエンサーの個性を最大限に活かしたコンテンツ設計ができるようにします。インフルエンサーがフォロワーから支持されている理由や発信スタイル、価値観を理解し、それらを損なわない形で投稿内容を企画しましょう。
発注側が表現や構成を過度に制限してしまうと、インフルエンサー本来の魅力が伝わらず、フォロワーからの反応が得られにくくなり、期待するマーケティング効果につながらない可能性があります。
インフルエンサーの自主性を尊重しつつ、ブランドメッセージを自然に組み込むことが、インスタのインフルエンサーマーケティングを成功させるポイントです。
また、投稿のタイミングや頻度、ハッシュタグの選定もエンゲージメント率に大きく影響するため、一方的に指定するのではなく、フォロワーについて熟知したインフルエンサーと相談するようにしましょう。
インスタでのインフルエンサーマーケティングの成功事例
ユニビューティ株式会社
コンタクトレンズのEC販売を行うユニビューティ株式会社は、インスタのインフルエンサーマーケティングを活用し、「ポイント10倍プレゼント」の期間限定キャンペーンを実施しました。
メインターゲットが20代の美容に関心のある女性であることから、フォロワーの男女比を重視してインフルエンサーを選定し、ターゲットと同世代の女性インフルエンサーを複数起用しました。その結果、それまでの主要購買層であった40代の会員だけでなく、ターゲットとしていた10代後半から20代前半からの流入増加に成功しました。
PR投稿とインフルエンサーキャンペーンを同時に展開したことや、ブランドや商品と親和性の高いインフルエンサーを適切に選定したことが、購買行動の促進につながっています。
CNIEL
フランス産バターのプロモーションを行う「CNIEL(フランス全国酪農経済センター)」は、フランス産バターの販促キャンペーンを日本で行うにあたって、メディアPRとSNS施策を同時に実施しました。SNS施策では、インスタのインフルエンサーマーケティングを活用し、料理やレシピを中心に発信しているマイクロインフルエンサーを起用しています。
限られた予算の中でエンゲージメントを最大化するため、フォロワー属性を重視したターゲティングを行い、関心度の高いユーザー層への訴求を強化しました。その結果、インフルエンサーの投稿は約140万インプレッションを記録し、キャンペーン用ハッシュタグにおいても100件以上の「いいね」を獲得するトップ投稿が生まれました。
このように、インスタのインフルエンサーマーケティングは、マイクロインフルエンサーを活用することで、予算を抑えながらも高い認知拡大とエンゲージメントの向上を実現できます。
インスタのインフルエンサーを起用する方法

自社で見つける
自社でブランドやPRしたい商品に合うインフルエンサーを直接探す方法です。例えば、以下のような方法があります。
- 関連性の高いハッシュタグやインスタの検索機能を活用する
- 自社アカウントをフォローしているユーザーがフォローしているインフルエンサーを確認する
第三者に委託する場合と比べて費用を抑えやすいため、予算が限られている場合や小規模な施策では、自社で探す方法が適しています。
インフルエンサーマーケティングプラットフォームを利用する
インフルエンサーマーケティングプラットフォームを利用すると、インフルエンサーのプロフィールや過去の実績、フォロワー属性などをもとに検索できます。そのため、ブランドとの親和性が高いインフルエンサーを効率的に見つけられる点がメリットです。
一方で、プラットフォームの利用には費用が発生するため、事前に予算を確認しておく必要があります。
エージェントを活用する
インフルエンサーマーケティングに特化したエージェントを活用する方法です。インフルエンサーの選定だけでなく、コンテンツ制作やキャンペーン運用のサポートまで対応してくれるケースが多く、時間や労力を大幅に削減できます。
そのため、社内リソースが限られている企業や、専門的なノウハウを活用したい場合に適しています。ただし、手数料が発生するため、費用対効果や予算を考慮したうえで導入を検討することが重要です。
まとめ
インスタのインフルエンサーマーケティングは、これまでの広告と比べてユーザーに自然な形で情報を届けやすく、目的や予算に応じてインフルエンサーの起用方法を柔軟に調整できる、費用対効果の高いマーケティング手法です。
施策を成功させるためには、ブランドや商品のイメージと親和性の高いインフルエンサーを見極めて起用することが重要です。フォロワー数だけで判断するのではなく、フォロワーとの関係性にも注目しましょう。コメント欄でのやり取りやストーリー、ライブ配信の反応などを確認することで、実際にフォロワーから信頼されているインフルエンサーかどうかを判断しやすくなります。
こうしたポイントを押さえることで、インスタのインフルエンサーマーケティングの効果を最大限に引き出すことができます。
よくある質問
インスタでインフルエンサーマーケティングを始めるには?
インスタでインフルエンサーマーケティングを始めるには、ブランドや商品のイメージに近いインフルエンサーを見つけ、契約交渉を行い、プロモーション戦略について話し合いましょう。
インスタのインフルエンサーマーケティング費用はいくら必要?
インスタのインフルエンサーマーケティングの費用は、インフルエンサーのフォロワー数や単価によって変動します。一般的には、1フォロワーあたり1〜3円が目安とされており、例えばフォロワー数が1万人の場合、1フォロワー1円であれば約1万円、1フォロワー3円であれば約3万円が費用の目安となります。
インスタでのインフルエンサーマーケティングを効果的に活用するには?
インスタでのインフルエンサーマーケティングを最も効果的に活用するためには、ターゲット市場と一致し、エンゲージメントの高いフォロワーを持つインフルエンサーを見つけることが重要になります。
文:Momo Hidaka





